年金を払う・払わない お得なのはどっち?【実際の数字で比較】

はじめに:年金は「義務」だけど、本当に得なの?

「年金って本当に将来もらえるの?」「払わない方が得じゃない?」
そんな疑問を持つ人は多いでしょう。特に20代・30代の若い世代は、将来の年金制度に不安を感じ、「払う意味あるの?」と感じてしまうかもしれません。

この記事では、年金を払う場合と払わない場合で、本当にどちらが得なのかを、具体的な数字を使ってシミュレーションしながら徹底比較します。

※ただし、前提として年金は「国民の義務」です。実際には払わないという選択肢はありませんが、「もし払わなかったらどうなるのか?」「払うことでどんなメリットがあるのか?」を知っておくことはとても重要です。


そもそも年金とは?制度の基礎をおさらい

まずは年金制度の基本をざっくり解説します。

公的年金の仕組み

日本の公的年金は以下の2階建て構造になっています。

階層内容対象者
1階国民年金(基礎年金)全員(自営業・学生・無職含む)
2階厚生年金会社員・公務員など給与所得者

※フリーランスや自営業者は基本的に1階の「国民年金」のみ。

支払額と受給額の基本

2025年現在、国民年金の保険料は月額16,980円(年間203,760円)
20歳から60歳までの40年間、フルで納めた場合:

  • 支払総額:203,760円 × 40年 = 約815万円
  • 受給額(65歳~):月額約66,000円(年額約79万円)
     → 20年間受け取れば:79万円 × 20年 = 約1,580万円

つまり、倍返しレベルで返ってくるのです。


【シミュレーション】年金を払った場合・払わなかった場合の「生涯損得」

ケース1:年金をしっかり40年間払った場合

  • 支払額合計:約815万円
  • 受給開始年齢:65歳
  • 平均寿命(男性81歳、女性87歳)まで生きた場合の受給額:
     - 男性:79万円 × 16年 = 約1,264万円
     - 女性:79万円 × 22年 = 約1,738万円

差し引き利益:

  • 男性:1,264万円 – 815万円 = +449万円
  • 女性:1,738万円 – 815万円 = +923万円

ケース2:年金を払わずにその分貯金した場合(利子なし)

  • 毎月16,980円を40年間貯金:
     → 16,980円 × 12ヶ月 × 40年 = 約815万円

しかし、65歳以降は自分の貯金で生活費の一部を賄う必要があります。79万円相当の年金を毎年引き出すと、10年で残高はゼロ近くに。年金がないと80代以降の生活費がかなり厳しくなるのが現実です。


年金の最大のメリットは「長生きリスクへの保険」

ここが非常に重要です。

  • もし90歳、100歳まで生きた場合、貯金では限界があります。
  • でも、年金なら一生涯受け取れます(終身給付)

たとえば、100歳まで生きた女性なら:
79万円 × 35年 = 約2,765万円

→ 支払額815万円に対して、約1,950万円の利益です。


「払わない」という選択肢のデメリット

仮に年金を払わない、または未納のままだと、どんなリスクがあるのでしょうか?

1. 受給資格が得られない(10年未満の納付)

年金を10年以上納めていないと、そもそも1円ももらえません

2. 強制徴収・差し押さえのリスク

国民年金の未納には、最初こそ督促や催促だけですが、繰り返すと最終的には強制徴収・財産差押えになります。

3. 障害年金・遺族年金がもらえない

年金は老後だけではありません。

  • 障害年金:不慮の事故・病気で働けなくなった時に支給
  • 遺族年金:家族が亡くなった際に支給される制度

これらは「納付していること」が受給条件なので、未納だと人生の万一に備えられなくなるのです。


「年金は破綻する」は本当か?

一部では「将来、年金はもらえなくなる」と不安視されていますが、実際には破綻の可能性は極めて低いです。

  • 制度は定期的に見直され、支給額や開始年齢が調整されています。
  • 収入に応じた支出コントロールが制度設計に組み込まれているため、「ゼロになる」ということは考えにくいです。

実際の政府の試算(厚生労働省)

  • 2050年以降も、年金支給額は現役世代の約50~60%水準で維持される見込み
  • インフレ・物価変動を加味しても「最低限の生活保障」は確保される想定

こんな人には「年金のメリット」が特に大きい

  1. 長生きする可能性が高い人
  2. 病気や事故などのリスクに備えたい人
  3. 子ども・配偶者を守りたい人
  4. フリーランスや非正規雇用で、企業年金がない人

年金は「保険」としての側面が強いので、こうした人ほど年金制度の恩恵を受けやすいのです。


まとめ:結論「年金は絶対払った方が得」

比較項目年金を払った場合年金を払わなかった場合
総支払額約815万円なし(代わりに自力貯金)
受給額(平均寿命まで)約1,264万~1,738万円0円(生活費は自腹)
長生きした場合上乗せで何十年も給付貯金枯渇のリスクあり
保険的役割障害・遺族年金ありなし
リスク強制徴収なし・安心強制徴収・差押えの恐れあり

年金は「払い損」と思われがちですが、実は非常にコスパの良い投資です。特に「長生きすればするほど得する」仕組みになっているため、将来に備える手段としては非常に優秀です。


最後に:将来の不安こそ、年金で備える

年金制度には課題もありますが、「払っておけば損はしない」制度設計になっています。
「自分だけ得をしたい」と考えるより、「人生100年時代をどう生き抜くか」という視点で考えることが大切です。

あなたの未来に、確かな安心を残すために。
年金は「義務」でありながら、「最大の得策」なのです。